電気管状炉、管状炉用温度調節器およびマスフローコントローラー等の消耗品を購入し、デジタルマルチメーターおよびデータ解析用ノートパソコンを搭載し、SOFC評価システムを完成させて発電試験を行える環境を整えた。FESEM-EDX分析およびXRD分析により、得られたNi_<1-x>Mg_xO触媒は、xと共に微細化し触媒表面積が大きくなることが示され、XPSにより改質反応に寄与する水蒸気や二酸化炭素との相互作用も高くなることが示唆された。標準的なNiベースのアノード材料および蒸発乾固法により調整した複合酸化物Ni_<1-x>Mg_xOベースのアノード材料を適用したSOFC単セルを作製し、CH_4とCO_2を混合した模擬バイオガスを調整してこれを直接供給した際に燃料極上で起こる反応メカニズムの解明を試みた。その結果、メタンはNi触媒上での改質反応に加えて電気化学反応によっても消費され、複合酸化物Ni_<1-x>Mg_Xoベースの触媒上で、メタンの電気化学的酸化がより促進されることが分かった。また、この現象は高CH_4/CO_2比の模擬バイオガス供給時に、より顕著に見られた。NiOおよびNi_<0.9>Mg_<0.1>Oを燃料極材料に適用し、模擬バイオガスを供給して200時間以上に渡るSOFCの運転に成功した。これにより、バイオガス直接供給SOFCは十分実現可能であり、廃棄物の削減および地球温暖化抑制に寄与する有望な分散型電源となり得ることを実験的に証明した。しかしながら、Ni_<0.9>Mg_<0.1>Oを用いた場合、触媒活性は向上するものの、NiOに比べてバイオガス雰囲気中における安定性に欠けていることが明らかとなったので、今後他のMgO添加量についも実験を行い、更なる性能の向上を目指す。
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