研究概要 |
これまでに得られている軽量アブレータ炭化層内の内部密度分布の再現性の確認と,次年度に計画しているアーク加熱試験中の軽量アブレータ衝撃層内レーザー計測実験の実験技術習得の2点について今年度は重点的に行った. 20kWアーク加熱風洞(超高温材料研究センター,岐阜県多治見市)で軽量アブレータの加熱試験を行った.試験に用いた軽量アブレータは炭素繊維シートにフェノール樹脂を含浸させて製造し,比重はおよそ0.25である.加熱試験後の軽量アブレータを厚さ約1mm程度に薄くスライスすることで内部密度分布を測定し,表面付近の炭化層密度の増加を確認した.表面付近の密度は母材密度と同程度まで増加することが確認できた.また,測定したアブレータ表面温度履歴と表面から約10mmのところに艤装した熱電対の温度履歴から,表面付近の温度は約2,000℃となり,10mmのところでは,約500℃まで上がっていることがわかった.これより,この温度範囲内でコーキング反応が起こっていたと推定でき,この結果は過去の文献での報告とほぼ同じ傾向であることが確認できた.内部密度分布および表面内部温度の測定データは軽量アブレータの熱応答モデル構築のために今後使う予定である. アーク加熱気流中(鈍頭モデルなし)および鈍頭物体(銅製)モデル前方の衝撃層中のレーザー透過性を調べるため,レーザー透過計測実験系を構築し計測を行なった.結果,アブレーションがない場合にはレーザーの減衰がないことを確認することができた.この結果は,アブレーションガスにレーザーを透過させて観測しうるレーザー減衰の主たる原因が,化学分解によって生成した炭素微粒子であると裏付けるためのデータとして今後使う予定である.
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