本研究の目的は、マグネトロンを衛星搭載送信機のマイクロ波送信管として新規開発することであり、平成19年度の研究計画として、1.マグネトロンの熱フロー解析および排熱機構の設計検討、2.真空環境下におけるマグネトロンの基礎特性測定、3.電磁粒子シミュレーションによるマグネトロンの発振周波数・マイクロ波出力の定量解析、を掲げた。 1.の研究成果は、本補助金を用いて購入した熱解析ソフトウェアにより、マグネトロンの排熱機構において最も重要である陽極円筒での温度分布について検討を行ったことである。2.の研究成果は、真空チャンバ内でのマグネトロンを駆動し、従来の強制空冷によるマグネトロン駆動、強制空冷のない大気圧下でのマグネトロン駆動との比較を行ったことである。その結果、永久磁石温度と直流-マイクロ波変換効率との相関が見られた。3.に関しては、申請者の研究グループで開発された2次元マグネトロン電磁粒子シミュレーションを用い、マグネトロンの発振周波数、マイクロ波出力の定量評価を試みたことである。発振周波数スペクトルに関しては、陽極片間のギャップ電圧をモニタすることにより、種々のマグネトロンパラメータ変更によるスペクトル変化を観測できた。 1.および2.の研究成果の意義・重要性は、マグネトロンを真空環境下で駆動させるために必要な熱設計および評価を行うための準備環境を整えたことである。また、3.の研究成果の意義・重要性は、1.および2.で実施される設計・実験結果の裏付け、定量評価を行うための環境を整えたことである。
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