研究概要 |
電磁力による流れ制御を検証する目的で,アークジェットプルーム中でめ流れ測定および磁場印加による模型の抗力増大の直接測定が他研究者により行われてきた。本研究ではまず,ホール効果を無視した粒子シミュレーション(DSMC)と流体シミュレーションを行って測定値を検証した。計算値は,実験値と定性的な一致をみせたが,電磁流れ制御を実証するには,実験値の定量的な理解が必要であった。一方,この研究によって,アークジェットプルームでは,連続体近似と電磁場方程式(電磁流体コード)を用いて,十分に流れ場を再現できることがわかった。そこで実験値の定量的な理解を目指した次の段階として,ホール効果を考慮した電磁流体解析を行った。結果として,アークジェットプルームのようにホール効果が大きく,前もって弱電離している流れ場中で,電磁流れ制御を有効にするためには,流れ中にプルーム境界のような絶縁境界が必要であることが明らかになった。これは電磁流れ制御を実験で検証する際に極めて重要であり,再突入模擬環境として,プルーム境界が無視できるような非常に大きいアークジェット風洞を用いてしまうと,電磁流れ制御が無効化されてしまうことがわかった。これを受けて,この半年ほどで,アークジェット風洞ではなく,より再突入環境に近い衝撃波風洞を使った実験が行われるようになり,研究を電磁流れ制御の実現化に向けた段階に進めることができた。しかし,実際の再突入環境では,高い高度において電磁流れ制御を開始する必要があり,このような高度では,希薄効果のためにやはりホール効果が大きくなる。そこで,次の段階として,本研究課題の最終目的である「高高度での再突入環境下を忠実にシミュレートし,電磁流れ制御の有効限界高度を示す」事が重要となっており,現在は,これまでのDSMCコードに化学反応モデルを組み込むことに取り組んでいる。
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