温度依存性が対になる2色発光を用いた感圧コーティングの研究とその実証試験を平成19年度、20年度の2年間で行った。このコーティングは2色発光を利用し、温度依存性をキャンセルする機構を持つ。用いた発光色素(ピレンスルホン酸)は、低波長側の発光ピークが温度の増加とともに増加し、高波長側の発光ピークは温度の増加とともに減少する傾向がある。2色発光が重なる波長領域は温度によらず発行量が一定となることに着目し、この領域で計測することで温度依存性をキャンセルした圧力分布計測の実証を行った。温度キャンセル機構を持つ感圧コーティングは、本研究成果より10℃〜40℃の範囲で温度依存性を限りなく0にすることができた。温度依存性をキャンセルするには、発光ピーク比を制御する必要がある。ディッピング法での濃度、時間を最適化することによりこれを制御できることが分かった。ディッピング法とは発光色素をコーティング表面に適用する手法であり、その要素研究を行った例は本研究が初である。衝撃波管を使った応答性実験では、圧力のステップ応答に対し25μsで応答することがわかった。単純に逆数が周波応答と定義すると40kHzの応答性を持つ。実証試験では、温度変化をともなう10Hz〜50Hzの非定常現象に対し、温度キャンセルを備えた流れの可視化および圧力分布計測を行った。これ以上高い周波数で計測すると高速カメラに取得できる発光量が制限され、上記の周波数での非定常現象にとどまった。上記発光量の温度範囲であれば温度キャンセルを保ち可視化、圧力分布計測が行えることを示した。
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