研究概要 |
平成19年度は,現場型金属イオン定量分析装置の中核となるマイクロデバイスについて,主に感光性樹脂を用いた鋳型構造の製作と透明シリコーンゴム(PDMS: polydimethylsiloxane)の型取り法を応用して,設計・製作を行った.具体的には,「マンガンイオン(Mn^<2+>)」定量の為のルミノール反応に必要な溶液の混合を確実,かつ効率的に行うことのできるマイクロ流路の設計を行った.微弱な発光を効率よく検出するための光検出用マイクロ流路の構造についても最適化した.現状の感度としては,10nMオーダーのマンガンイオンの検出と定量が可能であることを確認した. さらに,マンガンイオンの検出の際に競合的に作用し,定量性に影響を与える「鉄イオン」を除去する為のイオン交換カラムの集積化についても実施した.その結果,8-hydroxyquinolineキレート樹脂ビーズを充填したマイクロ流路を用いて鉄イオンを除去しながらマンガンイオンを定量できることが確認できた. また,実海域での現場分析にむけて,マイクロポンプ・バルブからなる送液系に加え,独自開発の小型制御装置,光検出系,またそれらを収納する耐圧容器について,その基本的な要件について明らかにし製作に着手した.特にマイクロポンプに関しては送液精度の高いものを選択し,その性能評価を実施した.
|