船体構造のリスク評価を行うためには、船体構造が生涯に一度遭遇する程度の海象、あるいはそれ以上に巌しい海象の下で、船体構造がどのようにどの程度崩壊するかということを明らかにしなければならない。そのためには数値的なシミュレーションによって、崩壊の過程を追跡する必要がある。本研究は船体構造が極限波浪下で崩壊する過程をシミュレーションするための流力弾塑性解析法を開発するためのものである。 今年度は主に最終強度を迎えた後の崩壊過程解析に注力した。本年度の成果は次の通りである。 1) 船体桁の崩壊後の挙動のモデル化を行った。崩壊後の耐力低下を含むモデルである。 2) 1)のモデルを用いて、崩壊後の挙動解析のための有限変位を考慮した、荷重-船体崩壊挙動連成の解析解を導出した。さらに、数値解によりこれを検証した。 3) 上述の解析解をベースに崩壊の進行を推定するためのパラメータを抽出した。 4) 完全弾塑性モテルと1)で開発したモデルでは崩壊現象が異なり、1)のモデルが有効であることを明らかにした。これは3)で抽出されたパラメータによって、明快に表すことが可能である。 5) 非線形荷重を推定する際の海象条件の絞込み法を開発した。 引き続いて、1)のモデルを、前年度作成した、非線形ストリップ法との連成解析プログラムに組み込む作業を検討・実施中である。 また、前年度に研究した弾性範囲での厳密なシミュレーション法について、海外(トルコ)における研究発表を行った。
|