研究概要 |
平成20年度は, まず, 19年度で作製した水車模型を用いて回流水槽試験を実施した。水槽試験には, 本校荒天航舶験室内の回流水槽及びプロペラ単独試験装置を用いた。実験条件は, 流速1.2m/s, 周速比(翼端周速/流速)15〜8.0(0.5刻み)である。実験結果として, 出力係数C_w(水車出力/水車断面を通過する流体エネルギー)は, 設計条件の周速比4.0において最大値に近い値をとった。また, 最大値付近の値を広い周速比域で得ることが実証され, 19年度の予測計算と概ね一致する。これは, 本研究で開発した水車が低流速から発電し, 更に, 広い領域で高い発電効率を得ることが可能だということを示している。 次に, シュラウドの設計・製作を行った。シュラウドの設計は汎用CFDソフトFluentを用いてあらかじめ内部流速等を計算することにより行った。なおシュラウドは, それ自体にも大きな流体力が発生するため, 無闇に大きくならないことが望まれる。そこで, 出口断面積が入口よりも大きくなるディフーザー型, L/D=1.0(シュラウド長さ/シュラウド入口直径)のシュラウドを作製し, 水車を覆うことを仮定した。水車単体と同様に, 流速1.2m/sにおける結果は, シュラウドを用いた場合のC_wがその増速効果により, 用いない場合の2倍程度となるものとなった。水車直径と同じ長さの拡大型ダクトを用いるだけで, 大きな出力の増加が見込まれることが判明した。 平成20年度の研究では, シュラウドの集流・増速効果について調査し, 潮流発電用水車の模型試験と簡易性能予測計算を行った結果, シュラウドを用いることで水車性能を約2倍にすることが可能であるとの知見を得た。なお, 実海域における性能予測は, 時間と予算の制約上不可能であったため, 今後の課題としたい。
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