研究概要 |
採石場において、切削・成形段階で水を使用するため、微細な切削粉末は懸濁液として得られる。そのため、切削粉末の回収は沈殿処理が必要となる。課題は凝集剤を用いるため、産業廃棄物になることである。そこで、本研究は凝集剤を用いない新規沈殿方法を提案し、純粋な録色凝灰岩微粒子を回収することで、商品として利用し、資源利用効寧を上昇させることを目的とした。新規凝集法の具体的な考え方は、(1)懸濁液のゼータ電位を測定し沈殿域のpHを把握する(2)高周波数の超音波を水溶液に照射することにより、水に特殊な化学反応(ラジカル生出)を起こさせ、それをpHコントロールに利用し沈殿得るというものである。測定により、秋田県大館市の緑色凝灰岩採石場における懸濁液のゼータ電位はpH7で・.40mVであり、沈殿域はpH4であることが明らかになった。本研究で用いた200kHz200Wの超音波を純水50mlへ照射したところ、硝酸、過酸化水素が生し、pHは低下することが確認できた。特に溶存空気量が増すほど、硝酸生成量は大きいことがわかった。この生成すろ酸性化剤を,緑色凝灰岩懸濁液(50ml)に用いたところ、石から放出されるアルカリアルカリ土類金属による緩衝作用により、急激なpH低下は得られなかったが2時間以上の照射でpHは沈殿域である4以下に達し、沈殿が得られた。ゼータ電位測定および濁度測定から硝酸生成による酸性化作用が沈殿に大きく関与し, OHラジカルや超音披の振動iが沈殿に与える影響は少ないと考察している。また・本周波数において、2時間程度の照射は粒径に与える影響は少ないことがわかった。本研究は「薬品を用いずに超音波照射時間の設定のみで沈殿を得ることを可能」とした点で、大変興味深く、意義のある基礎結果が得られた。資源、工業分野へ応用が期待できるため、継続研究を必要とする重要な研究といえる。
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