研究概要 |
1. 循環型社会のシミュレーションシステムの構築 マルチエージェントシステムを用いて, RC(鉄筋コンクリート)系構造物を対象とした資源循環型社会モデルのシミュレーションシステムを構築し, 部材リュース及び資源リサイクルを導入したケースと, そうでないケースについて, 資源消費量, 環境負荷量の観点から考察を加えた。 2. システムの概要 対象構造物は2×2スパン, 2層のRC造住宅を想定する。部材リュースを可能にするため, 柱・梁部材をPCaコンクリートで製造し組建解体を行う工法と, 現状のコンクリートを一体的に打設する工法を想定し, 各々の工法を採用した場合のシミュレーションを実施する。システム内で設定するエージェントは, ユーザー, 住宅メーカー, リュースメーカー, 部材製造を行うものとして, 電炉メーカー, PCaメーカー, 生コンメーカー, 骨材メーカー, セメントメーカーを想定した。環境負荷に関しては, エネルギー消費量, CO2, NO2, SO2, SPM発生量を対象とした。また, シミュレーションを実行する上で, 建替周期, リサイクル判断基準, 解体材回収率, 再生利用可能率ダメージ比率などのパラメータを設定し, 各種ケーススタディを実行した。 3. 結果と考察 組建解体型工法は一体型工法に比べ, 環境負荷を削減することが可能であった。さらに, パラメータを変化させてシミュレーションを実行した結果, 「解体材回収率」と「リサイクル判断基準」の変化が環境負荷量・廃棄物量に与える影響が顕著であった。また, リサイクル判断基準を長くした時に, 環境負荷量・廃棄物量の減少が緩やかになる傾向が見られた。
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