レーザー核融合の有望な手法である高速点火方式ではターゲット燃料を爆縮し、最大圧縮に至った瞬間、外部から超高強度レーザーを注入して加熱を制御する。この追加熱時に発生した高速電子は硬X線の放射を引き起こすことから、硬X線の測定を行うことで、追加熱時のターゲットプラズマ中の高速電子の振る舞いを調べることができる。そこで、本研究はX線フレーミングカメラを用いた高感度硬X線測定法の開発を目標としている。 フレーミングカメラは通常X線の2次元画像を取得するために利用されている。しかしながら本研究では、光電面がライン状であるというフレーミングカメラの特徴に着目し、高エネルギーX線の発生時刻が測定できると考えている。 平成19年度に行った複数金属フィルターシステムの試作結果を踏まえ、平成20年度はより高精度なフィルター位置制御機構を組み込んだフィルターシステムの設計、製作を行った。12月に激光12号を用いた実験で測定を行い、複数金属フィルターに対するX線の強度比から入射X線のエネルギーを推定できることを確かめた。また数値計算モデルの構築も行った。このモデルを用いて取得データをフィッティングすることにより、高速点火で大変重要な加熱のタイミングを正確に知ることができると考えられる。
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