レーザー核融合の有望な手法である高速点火方式ではターゲット燃料を爆縮し、最大圧縮に至った瞬間、外部から超高強度レーザーを注入して加熱を制御する。この追加熱時に発生した高速電子は硬X線の放射を引き起こすことから、硬X線の測定を行うことで、追加熱時のターゲットプラズマ中の高速電子の振る舞いを調べることができる。そこで、本研究はX線フレーミングカメラを用いた高感度硬X線測定法の開発を目標としている。 フレーミングカメラは通常X線の2次元画像を取得するために利用されている。しかしながら本研究では、光電面がライン状であるというフレーミングカメラの特徴に着目し、高エネルギーX線の発生時刻が測定できると考えている。 これまでの研究から時間分解測定を行う場合、硬X線が入射するとフレーミングカメラの時間分解能が劣化することが知られていたが、その原因は明らかでなかった。我々は硬X線が光電子増倍管内に直接入射して増倍を行うというモデルを構築し、これに基づいた数値計算を行った。数値計算の結集は実験で見られた分解能の劣化をよく再現するものであった。従ってこのモデルを用いて取得データをフィッティングすることにより、高速点火で大変重要な加熱のタイミングを正確に知ることができると考えられる。これらの成果を国際会議、国内学会等で発表した。
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