九州大学応用力学研究所伊藤早苗研究室にて実験が行われている高密度直線乱流プラズマ装置(LMD-U)と、このプラズマ装置に設置されている周方向64チャンネル静電プローブを用い、プラズマの電子密度・ポテンシャル揺動(ドリフト周波数帯)の時空間構造を測定し、正確かつ詳細な揺動の2次元フーリエ解析(周方向波数・周波数)を行った。その結果、数個の基本揺動から非線形結合を繰り返すことで周方向波数・周波数のマッチング条件を同時に満たす位置に準揺動が次々に発生していることが分かった。この準揺動はドリフト波の線形分散関係とは外れた位置にカスケードしていることが、シミュレーション結果と照らし合わせることで理解できた。準揺動が親となる2つの揺動の非線形結合を通じて強制励起されていること(3波の非線形結合)は、周方向波数・周波数のマッチング条件を同時に考慮したバイスペクトル解析という今まで行われたことのない解析手法によって確認された。また、2つの軸方向に離れ、径方向位置が同じ周方向プローブ(64チャンネルと48チャンネル)により、揺動の2次元軸方向相関(周方向波数・周波数)を求めることにも成功した。さらに、非線形結合を通じてドリフト波揺動が周方向に自己収束し、メゾスケール構造を形成する現象(ストリーマー構造)が直線プラズマでは世界で初めて観測された。この構造は径方向には変調が弱く、理論で予測されているストリーマー構造と特徴が一致することが確認された。
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