研究概要 |
[研究背景と目的]核融合炉の液体ブランケットシステムにおいて、溶融塩LiF-BeF_2(Flibe)及び液体金属Lithium (Li), Lead-17Lithium (Pb-17Li)が、自己冷却型トリチウム増殖材として有望視されている。課題は、これらの高温融体中のトリチウムの制御と監視である。本研究の目的は、高温融体中において使用可能な液体ブランケット用オンライン水素(同位体)センサーの開発である。 [研究実施計画と成果]H19年度は、研究計画を[1]センサー材料基礎研究、[2]センサー試作・性能校正試験、[3]液体中におけるセンサー性能評価試験の3段階で構成して実施した。本研究では、トリチウムの代わりに化学的性質が類似し取り扱いの容易な水素を用いた。それぞれの研究成果は次の通りである。 [1]の研究では、固体電解質のドーパントとしてIn若しくはScを使用した。Scをドーパントとしたタイプは、ブランケットの冷却材のような還元雰囲気下において有効であるが、プロトン輸率が安定する条件が限られてしまう事がわかった。センサーの構造は、還元雰囲気においても固体電解質センサーが作動するようにガス室を持ち、直接還元性の液体と接液しないタイプのものを開発した。 [2]の研究として、[1]で研究した材質でブランケットセンサーを設計・試作し、ガス中で性能校正試験を実施した。センサーの応答性や作動条件(温度、測定ガス中水素分圧、測定ガス中酸素分圧)などを調べた結果、ガス中においては本研究の要求を十分に満たす性能が得られた。 [3]の研究成果は、高温融体中でセンザーの浸漬測定試験が可能な装置を開発し、液体金属鉛中で試験を実施し応答性を調べた事である。液体中の水素濃度制御は、カバーガスと液体との気液平衡を利用した。センサーの応答として、再現性は得られたが、液体中の酸化物の影響により理論値とのずれが生じた。このため、水素と酸素の濃度の液体中同時測定が今後の課題である。
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