低放射化フェライト鋼F82H(Fe-8Cr-2W-0.1C)及び316Lステンレス鋼(Fe-18Cr12Ni-2Mo)の異種溶接材を電子ビーム溶接で作成した。板材の厚さは7mmで電子ビーム入熱は3kW、溶接速度は1m/minである。溶接材から硬さ試験片、組織観察試料、加速器照射試料を切り出した。光学顕微鏡観察、及び走査型電子顕微鏡観察の結果、溶接割れなどの欠陥は観察されなかった。硬さ試験より、溶接金属ではビッカース硬さで400Hv以上の非常に硬い相が生成し、これを溶接後熱処理で母材の硬さ(200Hv)まで軟化させることはできなかった。このような溶接材は脆いことが予想される。この相は現在解析中であるが、マルテンサイト相と推定される。この相の生成を避けるため、20年度は溶接時の照射位置を突き合わせ位置からずらすなどの溶接条件の最適化をする予定である。一方で、溶接部の照射硬化が母材より大きいかどうかを評価するため、加速器でプロトン照射を行った。溶接金属、母材ともに照射硬化は観察されたが、データのばらつきが大きく、定量的には過去のデータと矛盾するものもあるため、現在追試験を準備しているところである。また、溶接材の基本特性となる引張、曲げ、衝撃データをとるため、追加の試料作成準備を行った。以上の成果を日本金属学会2008年度春期講演大会にて発表した。 低放射化バナジウム合金の異材溶接材作成においては、溶接条件を求めるために使用する純バナジウムの加工を行って4mm厚の板材を作成した。20年度はこれの熱処理を行い、316ステンレス鋼と突合せ溶接実験をして溶接条件の最適化をする。
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