平成19年度において、高感度の2次元検出器アレイが完成した。この装置は、テフロン製の高周波プリント基板上に平面八木アンテナ素子を4個並べて成形し、その基板を垂直方向に4枚重ね合わせて、合計4×4=16チャンネルとした検出器である。受信周波数を20GHzとして設計し、同じ基板上にマイクロ波の受信回路を一体成形した。極小ミキサーダイオード(単価500円、受信周波数20〜100GHz)、GPS機器用のRFアンプ(単価284円×2段増幅)、携帯電話(cdmaOne)用のセラミック製の狭帯域バンドパスフィルター(単価100円)などを組み合わせて面実装し、手のひらサイズで非常にコンパクトな低コストの2次元検出器アレイが完成した。これは、産業応用として十分利用できる仕様である。また、位相計測モジュール(試作品)や専用のマイクロ波結像光学系を新たに開発し、産業技術総合研究所の逆磁場ピンチプラズマ実験装置TPE-RXにおいて、電子密度揺動の2次元観測を実施した。小半径方向の電子揺動分布や、閉じ込め磁場配位の自発的緩和現象、ダイナモの抑制による閉じ込め改善の運転モードにおけるプラズマの擾乱などに注目して計測し、逆磁場ピンチプラズマの内部における密度揺動について新しい観測データが得られた。アンテナ素子のスケールを2倍に拡大し、7〜14GHz受信用に周波数変更して、医療診断(数ミリサイズのガン組織を検出する)のイメージング検出器を開発している。また、アンテナ素子のスケールを1/3倍に縮小し、50〜75GHz受信用に周波数変更して、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置LHDにおける超高温プラズマの密度乱流を3次元観測する新しいイメージング検出器も開発しており、出来上がった試作品の動作試験を始めている。開発された2次元検出器アレイについて特許出願の手続きを進めている
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