研究課題
本研究では医療用ピンポイントX線源の実現に向け、レーザープラズマカソードの高度化を行っている。レーザープラズマカソードとはレーザー航跡場加速という従来型加速器とは異なる新しい加速方式を用いた電子ビーム源である。レーザー航跡場加速では、ガスターゲットに超短パルスレーザーを入射し、レーザーパルスの前部でガスターゲットをプラズマかすると同時に、光速程度の位相速度をもつプラズマの疎密波を励起する。この様にレーザーパルスによって生じたプラズマの疎密波はレーザー航跡場と呼ばれ、このレーザー航跡場によって電子を加速する方式をレーザー航跡場加速と呼んでいる。現在では、従来型加速管の1000倍にも達する100GV/mの加速勾配が実験的に実証されている。このレーザー航跡場によって加速されるべき種電子をガスターゲットの内部で生じるプラズマ電子から供給する方式はレーザー航跡場加速の中でも特にレーザープラズマカソードと呼ばれている。これまでに、ガスターゲットに0.2Tの外部磁場を印加する事により、発生電子ビームの指向性及び発生安定性が飛躍的に向上する事が確認されている。これは、電子発生時のプラズマ計測の結果及び、シミュレーションの結果から、レーザーのプリパルスによって生じるプリプラズマ形状が外部磁場によって制御されている為であると考えられる。しかし、発生する電子ビープのエネルギースペクトルは熱的なエネルギースペクトルな為、実用上に問題がある。この問題については、シミュレーションの結果から、より高強度な外部磁場を印可する事により、チャネル状のプリプラズマが形成され、単色の電子ビームの発生が可能である事がシミュレーションの結果より示唆されている。そこで、新たにITの磁場を発生させる磁気回路の設計、製作を行い、IT外部磁場印加実験を行った。その結果、チャネル状のプリプラズマの発生が確認された。
すべて 2007
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 261
ページ: 5-8
Proceedings of PAC2007, Particle Accelerator Conference 2007, Accelerator Science and Technology
ページ: 2790-2792