研究課題
本研究は、X線CTの3次元計測器としての測定精度向上を図るために、画像再構成における部分体積効果とビームハードニングという2種類のアーチファクトの低滅を目的としている。X線CT装置の測定データには、対象とするアーチファクトの要因の他に、検出器出力の揺らぎなど他の様々な測定精度の悪化要因も含まれる。そのため、対象とするアーチファクトの要因だけを分離してその補正方法を検討するために、模擬データ生成用としてX線CTシミュレータを作成する必要がある。2年目である平成20年度は、汎用性とアーチファクト再現性を確保するために下記の特徴を有するシミュレータを開発している。(1) 第一から第三世代の撮像方式を模擬すること、(2) 対象物のX線減衰率のX線エネルギー、密度および元素番号依存性を考慮すること、(3) X線スポットおよびX線検出器の寸法に依存した光学ぼけを模擬すること、(4) 透過X線の統計的な揺らぎによるノイズを模擬すること。(5) 任意な形状の対象物を模擬するため、対象物の形状データをピクセルとして入力できること。(6) X線源のエネルギースペクトル、強度を模擬すること。(7) X線投影データ生成時の光線追跡方法の効率化とMPIによる並列処理により計算効率を向上させること。これらの特徴を有するX線投影部は第一世代に関してはほぼ完成し、現在、X線投影データから画像を再構成する画像再構成部の開発を進めている状況である。平成21度は、開発したシミュレータのアーチファクト再現性などの検証を実施するとともに、アーチファクト補正方法の開発に着手する予定である。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 600
ページ: 126-128