研究概要 |
本研究は,X線CTの3次元計測器としての測定精度向上を図るために,画像再構成における部分体積効果とビームハードニングという2種類のアーチファクトの低滅を目的としている.X線CT装置の測定データには,対象とするアーチファクトの要因の他に,検出器出力の揺らぎなど他の様々な測定精度の悪化要因も含まれる.そのため,対象とするアーチファクトの要因だけを分離してその補正方法を検討するために,模擬データ生成用としてX線CTシミュレータを作成する必要がある. 3年目である平成21年度は,汎用性とアーチファクト再現性を確保するために下記の特徴を有するシミュレータの開発を昨年度から継続して実施した.(1)種々の撮像方式を模擬すること,(2)対象物のX線減衰率のX線エネルギー,密度および元素番号依存性を考慮すること,(3)X線スポットおよびX線検出器の寸法に依存した光学ぼけを模擬すること,(4)透過X線の統計的な揺らぎによるノイズを模擬すること.(5)任意な形状の対象物を模擬するため,対象物の形状データをピクセルとして入力できること.(6)X線源のエネルギースペクトル,強度を模擬すること.(7)X線投影データ生成時の光線追跡方法の効率化とMPIによる並列処理により計算効率を向上させること.これらの特徴を有するX線投影部は第一世代に関しては完成し,開発したシミュレータのアーチファクト再現性などを検証した.またX線投影データから断層像を再構成する画像再構成部に部分体積効果補正を組み込み,アーチファクト低減効果の検討を行った.
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