従来、高エネルギー中性子とガンマ線の両者を測定するために、液体有機シンチレータやCsI無機シンチレータが使用されてきたが、検出器を大型化する必要や、ガンマ線に対する効率やエネルギー分解能が十分ではないという問題があった。そこで、昨年度はNaI(T1)シンチレータについて検討を行ったため、本年度は特性を数値計算することで無機シンチレータBGOを対象とした。検出器の大きさは直径5.08cm、長さ5.08cmの円筒形とした。これは昨年度に使用したNaI(T1)シンチレータと同じ大きさで、従来使用していた液体有機シンチレータよりも直径や長さが40%と小型化した物である。BGOシンチレータも固体であるため、液体有機シンチレータのように輸送の問題が低減できた。また、ΔE検出器なしにBGOシンチレーション検出器単独で検出器を構成することとし、検出器体系全体を小型化し、サンプルにより近づけることで実効的な立体角を大きくするとともに、電子回路等の簡素化を図った。中性子とガンマ線は電子回路系と解析プログラムが比較的簡便なな2ゲート積分法で弁別することとした。この検出器を中性子源やガンマ線源を使用して応答特性などを調べた。電子回路の時定数などを調整したが、測定条件が最適化されていたとは言えないので、今後、最適化された条件で再実験を行い、またパルス波形弁別器など2ゲート積分法以外の手法との比較の必要があることが分かった。また、中性子源のエネルギーは低いため、高エネルギー加速器施設において応答特性を実験的に測定する必要があることが分かった。
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