本研究では、これまでに研究を進めてきたパーフルオロ系架橋体に対して、集束イオンビームや放射光により多段的に精密微細加工を施すことで、孔制御された耐環境性、耐放射線性に優れるパーフルオロ系架橋体のナノーマイクロ微粒子多段フィルターを作製し、さらには、電子線グラフト技術と組み合わせることで、孔側面に化学修飾を行い、選択的分子捕捉機能を有するナノーマイクロ分子ふるいを開発することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続き、ナノ微細加工体の作成、ならびに、樹脂表層に官能基を付与するグラフト反応条件について検討を行った。 ナノ加工に当たっては、PTFE分散液(XAD-911、旭硝子フロロポリマーズ社製)をSiウエハ上にスピンコートした後、360℃で焼成したPTFE(スピンコートPTFE)を用いた。早大理工研設置のEB装置を用い、各試料に対して窒素気流中335±3℃で600kGyの電子線照射を行い、架橋処理を施した。得られた薄膜試料をFIB装置を用い、マスクレス直接エッチングを行った。これまでの条件を元に、ナノサイズのフィルター加工を行い、加工後、EBグラフト法によりスルホン酸基を付与し機能化した。FE-SEMで試料を観察し、グラフト後の加工形状を評価した。その結果、10μm程度の孔径であれば問題ないが、600nm程度の孔径では表面が膨潤し平滑性が失われることが明らかになった。そこで、予め機能化した試料について微細加工を試みた結果、エッチング速度は遅くなるものの、面平滑性のある1μm以下のナノスケール加工が可能であることがわかった。
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