研究概要 |
二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの削減目標を達成するためには,電力分野において太陽光発電(以下,PV)や風力発電を導入することが重要であるが,特に配電ネットワークにおいてはPVが局所的に集中して連系されると,逆潮流によって配電線に予期せぬ電圧上昇が生じることがある。本研究では,電力貯蔵装置の普及と配電線電圧の制御に向け,配電ネットワーク運用者が電力貯蔵装置を導入する業務・商業需要家に対して初期コストの一部を補助する代わりに,電圧制約逸脱が生じるような系統条件において需要家の所有する電力貯蔵装置の出力を制御し,系統電圧を制御するマネジメント手法(協調運用)の経済性を評価してきた。本年度は,提案するマネジメント手法の特性を統計的な観点から評価するため,PV出力変動の確率的なモデリング手法の検討を行い,実測された日射量変動データに対して正規分布とベータ分布を用いてカイ2乗適合度検定を行った。時刻別に分析を行ったところ,ほとんどの時間帯において正規分布よりもベータ分布の方が高い適合度を示すことを明らかにした。また,提案するマネジメント手法を導入することにより,太陽光発電の導入量がどの程度増加するかを明らかにするため,配電ネットワークにおける電圧制約を考慮した太陽光発電の導入可能量の評価手法を開発した。本評価手法は,様々な配電ネットワークの条件下における太陽光発電の最大導入ポテンシャルを明らかにすることができ,有益な分析ツールになったと考えられる。
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