1.シマヘビにおいて先行研究と合わせて179の遺伝子がマッピングされ、そのうちZ染色体へは20の遺伝子がマッピングされた。Z連鎖遺伝子についてインドニシキヘビとハブの染色体にもマッピングを行った結果、インドニシキヘビでは全ての遺伝子が、シマヘビでは3つの遺伝子がZだけでなくW染色体にもマップされた。ハブでは全ての遺伝子がZ染色体のみにマップされた。 2.インドニシキヘビにおいてCGH法を用いて雌雄間で分化している染色体領域の検出を試みた結果、各性に特異的な染色体領域は観察されなかった。1、2の結果から、インドニシキヘビのZW染色体は分化の初期状態を保持してきたと考えられ、また、シマヘビとハブの祖先系統でW染色体の矮小化が起こり、二つの系統が分岐した後、ハブの系統ではさらにW染色体の矮小化が進んだことが推定された。 3.シマヘビにおいて常染色体とW染色体のヘテロクロマチンに共通の反復配列とW染色体のみに増幅した反復配列が得られた。次年度ではハブのW染色体特異的反復配列のクローニングを行う。 4.シマヘビ雌4個体から計48の受精卵を得て、経日的に解剖し、胚発生を監察した結果、25℃保温時において発生の進む速さに個体差はあまり観られなかった。また、性腺の組織切片を監察した結果、雌雄間での性腺の分化は遅くとも産卵後17日までに開始することが明らかとなった。次年度では産卵後17日までの受精卵を重点的に解析し、性腺分化時期に発現する遺伝子の特定を行う。 5.シマヘビにおいてdegenerate PCR法を用いてWT1、CBX2、TEX14をクローニングし、FISH法によってそれぞれ1q、2q、1pにマッピングした。ヘビにおいてはこれらの性分化関連遺伝子は性決定の最上流遺伝子ではないことが示唆され、既知の性分化関連遺伝子とは異なる遺伝子が性決定を担っていると予想された。
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