研究概要 |
シロイヌナズナのオーキシン応答に関わるオーキシン誘導性LBD/ASL遺伝子群(LBDF6, 17, 29, 33)の機能を明らかにすることを目的として研究を行い、以下の成果を得た。1)根で発現するLBD16, 17, 29, 33のうち、lbd16、lbd33単独変異体およびlbd16 lbd33二重変異体では、オーキシンを介した成長・発生において顕著な表現型がなかったことから、LBD17、LBD29との機能重複が強く示唆された。そこで、lbd16およびlbd33変異体において、人工マイクロRNAによってLBD17またはLBD29の発現抑制系統を作出したが、顕著な表現型を示す系統は得られなかった。この結果から、少なくとも3つ以上のLBD/ASL遺伝子の機能重複が強く示唆された。2)LBD16の転写制御下でLBD16-GFP融合タンパク質の発現をモニターする系統を作出し観察したところ、側根形成開始に関わる特定の内鞘細胞群で発現することを確認した。また、発現パターンが不明だったLBDF7のレポーター系統を作出し、他のLBD16, 29, 33と同様にオーキシンに応答して側根形成開始部位で特異的に発現することを明らかにした。これらの結果から、LBD17がLBD16, 29, 33とともに側根形成開始に関与することが強く示唆された。3)LBD16を介したオーキシン応答の分子カスケードを明らかにする目的で、LBD16誘導型植物を用いて同定したLBD16の下流遺伝子候補の発現解析を行った。その結果、オーキシンに応答してLBDF6と同様に側根形成開始部位で特異的に発現が誘導される新規遺伝子(植物に保存される特有なモチーフを持つ機能未知タンパク質をコード)を同定した。
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