研究概要 |
本研究のターゲットであるシロイヌナズナのAtMEKK1は病原菌の感染や傷害、低温、乾燥、塩などさまざまな環境ストレスに応答して活性化し、その下流因子をリン酸化により活性化し情報伝達すると考えられており、外界環境情報伝達のキーエンザイムである。しかしながらこれら様々な刺激がどのようにAtMEKK1に伝達されるかについては、これまでのところその受容体や情報伝達因子の同定などの知見は限られており、特に直接の上流因子についてはこれまでのところ全く報告がない。そこでAtMEKK1と直接相互作用するタンパク質を同定することでこれらの情報伝達経路の解明を行うことを目的とした。まず以下に示す方法により相互作用タンパク質の同定を試みた。1.Yeast two-hybrid法を利用したシロイヌナズナcDNAライブラリーからのスクリーニング。2.抗AtMEKK1抗体を用いたシロイヌナズナタンパク抽出液からの共沈実験。上記1,2の実験において現在相互作用の候補タンパク質を得て、現在さらに解析中である。また様々なストレス処理により活性化した内在性のAtMEKK1を免疫沈降により精製し、その活性を測定した結果、低温や塩処理により一過的に活性化することが明らかになった。さらにAtMEKK1の下流MAPKKに対する基質特異性を検証した結果、各種ストレス処理によりその特異性を変化させ、下流MAPKKを選択していることを示唆するデータを得た(論文投稿準備中)。また本研究を遂行するために論文検索により得たシロイヌナズナにおけるMAPKカスケードの役割に関する知見をまとめ、総説として論文発表した。(Matsuoka, et. al.2007.Plant Stress 1(1)113-117)
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