研究概要 |
我々は、高等植物のシロイヌナズナには20種類のSRタンパク質ホモログが存在しており、それらの中の6種類(atSRp45a, atSRp30, atRSp40, atSRp34a, atRSZp22, atRSZp21a, atRSZp32:ドメイン構造と分子量から命名)が種々の環境ストレス条件(強光、乾燥、低温、活性酸素発生剤パラコート)に対して高い発現応答性(発現誘導もしくは発現抑制)を示すことを見いだした。このことから、これらのSRタンパク質が植物特有の選択的スプライシングによるストレス応答性の遺伝子発現機構の制御に機能していることが強く示唆された。そこで本研究では、植物における環境ストレス応答性の選択的スプライシング制御機構を明らかにすることを目的として、シロイヌナズナからストレス応答性SRタンパク質を同定し、それらが関与する選択的スプライシング制御機構を解析した。 強光応答性atSR45aの転写産物を詳細に解析した結果、本遺伝子は2つの転写開始点の選択および選択的スプライシングにより少なくとも6種類の成熟型mRNA (atSR45a-1a〜e,-2)を生成していることが明らかになった。また、atSR45aおよびatSR30は、強光により転写レベルでの発現誘導だけでなく、自身の選択的スプライシング効率を変化させ、ドメイン構造の異なるアイソフォームを生成していた。相互作用解析の結果、atSR45aは核においてイントロンの5'および3'決定因子との相互作用を通して、スプライセオソーム形成に影響を及ぼすことで選択的スプライシング効率の制御に機能していると考えられた。
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