研究概要 |
植物の光受容体であるフォトトロピンの光情報受容とシグナル伝達機構の解明を目指し、ヒメツリガネゴケをモデル系として研究を行った。これまでに、ヒメツリガネゴケのフォトトロピンを大腸菌、またはヒメツリガネゴケで発現させる系を構築した。 ヒメツリガネゴケの4種類のフォトトロピン(PHOTA1,A2,B1,B2)を大腸菌で発現させ、PHOTA1がCBB染色でほぼ単一のタンパク質まで精製することに成功した。PHOTA1の光依存的な自己リン酸化活性を、リン酸化タンパク質検出試薬であるPro-Q Diamondを使用して測定した。しかし、精製標品が大腸菌内ですでにリン酸化されており、自己リン酸化活性への光照射の効果は見られなかった。暗所でタンパク質の発現と精製を行うなど、発現・精製方法を精査したが、改善されなかった。PHOTA1精製標品を脱リン酸処理後に自己リン酸化活性を測定することを考え、フォスファターゼ処理を行ったところ、PHOTA1が不溶化した。PHOTA1は脱リン酸化状態では凝集して不溶化すると考えられた。 一方、ヒメツリガネゴケの細胞で発現したPHOTを用いて、リン酸化活性、翻訳後修飾、結合タンパク質を解析することを目指し、PHOTA2過剰発現株からPHOTA2の精製を試みた。この株の細胞破砕液を分画し、PHOTA2抗体を用いてウエスタンブロッティングを行ったところ、PHOTA2はミクロソーム画分に分画された。そこで、数種類の界面活性剤を用いて膜画分からの可溶化を試みたが、再現性よく可溶化できる条件が見つからなかった。細胞の培養条件、可溶化の条件などの検計が必要である.
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