液胞形成過程を詳細に追うためには、膜構造が保存され、かつ、高い抗原性を残して固定・包埋することが重要である。そこで、高圧凍結装置および凍結置換装置を用いてシロイヌナズナ根端を固定・置換する際、オスミウムやグルタルアルデヒド等の固定液の濃度および固定時間等の条件を検討し、良好な条件を決定した。さらに、液胞が存在しない細胞から存在する細胞へ分化している細胞の位置を決定し、抗Vacuolar H^+-PPaseウサギ抗体による免疫電顕により、分化している細胞中のリング状の構造体、その前駆体、液胞の形を把握した。免疫2重染色を行うために、Vacuolar H^+-PPaseの合成ペプチドを用いて、ラットおよびマウス抗体を作製した。過去の文献またはシロイヌナズナデータベースから、液胞形成に異常のあるシロイヌナズナ変異体を検索し、種子を取寄せた。液胞形成に関連が深いと推定されるタンパク質に関しては、タバコ培養細胞またはシロイヌナズナの完全長cDNAライブラリーをテンプレートに抗原を大腸菌で作製した。シロイヌナズナの完全長cDNAライブラリーをテンプレートにYFP融合Vacuolar H^+-PPaseを作製し、このコンストラクトをアグロバクテリウム法により、シロイヌナズナに導入し、形質転換体を作製した。このT1種子を播種し、抗生物質選抜および蛍光顕微鏡観察によりVacuolar H^+-PPase-YFPが安定発現している形質転換種子を選び出した。
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