研究課題
本申請者は、軟体動物という実験動物の利点を生かして生物学的階層性に沿った実験を遂行し、行動変化にともなう神経機構の変化について「伝達物質放出量調節に関わる細胞内分子機構」と「生理学的変化」、「行動学的変化」との関係を直接的に明らかにすることを目的として研究を進めている。軟体動物モノアラガイの味覚学習では、同学習行動の鍵となるセロトニン分泌神経細胞Cerebral Giant Cell (CGC)が同定され、CGCからのセロトニン放出量が学習および転写調節因子CREBによって調節されていることがわかっている。本研究では、セロトニン分泌神経細胞CGCで働くセロトニントランスポーター(SERT)の遺伝子発現および機能に着目して分子生物学的・生理学的手法を用いた解析を進めた。平成19年度は、単一細胞レベルの解析に先駆けて味覚学習トレーニングを施した個体から中枢神経系(CNS)を採集し、SERT遺伝子の発現量を定量解析した。その結果、学習後30分においてCGCを含む神経節(Cerebral Ganglion)内では学習群が非学習群に比べて有意にSERT遺伝子発現が上昇した。また、SERT遺伝子のプロモーター領域のクローニングを行い、ルシフェラーゼベクターを用いたcAMP経路による遺伝子発現誘導を培養細胞系で確認した。この結果、味覚嫌悪学習時にCGC内においてCREBを介したSERT遺伝子発現、それに続く伝達物質量変化がおこることが示唆された。
すべて 2007 その他
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da Biol. Hungariea 59
ページ: 61-64
J. Exp. Biol 210
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比較生理生化学 24巻1号
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http://kp.bunri-u.ac.jp/kph07/index.html