研究概要 |
ゲノム解析が進んでいる植物の多数の遺伝子の系統解析の結果を調べ、各植物で一つのみ存在し、クラミドモナスまで保存されている遺伝子の候補としてRAD50, NEF1, CHLH,TOR, EMB2196, MRE11,MEI1, GCP4の8遺伝子を選び出した。 イネ、シロイヌナズナ、イヌカタヒバ、ヒメツリガネゴケ、クラミドモナスのアミノ酸配列にもとづいて設計した縮重プライマーを用いてに上記8遺伝子についてスギナ(Equisetum arvense),ホウライツノゴケ(Anthoceros angustus),シャジクモ(Chara braunii)の3種よりの増幅を試みたところ、RAD50, CHLH, TORの3遺伝子について3種全てから遺伝子断片を単離する事ができた。単離はN末端付近の縮重プライマー、C末端付近の縮重プライマーを用いて増幅した産物をクローニング後、N末端付近とC末端付近の配列にもとづいた特異的プライマーを用いてRT-PCRを行うことでほぼ全長の配列を得る事が出来た。また、3'RACEによってC末端までの配列を単離する事ができる。シャジクモのTORについてはC末端付近のみがクローニングで来ており、5'RACEによってN末端領域の単離をすすめつつある。 これらの3遺伝子は、個々の遺伝子の大きさも大きく情報量が多いと期待され、植物の系統解析に有用である可能性が高く、より多くの種類の植物から単離する事で陸上植物の初期進化の解明につながることが期待される。
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