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2007 年度 実績報告書

カサゴ目魚類における色彩多型の進化的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19770063
研究機関京都大学

研究代表者

甲斐 嘉晃  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (30379036)

キーワードカサゴ目 / 色彩多型 / 進化 / 繁殖様式 / 生殖的隔離
研究概要

本年度は,カサゴ目魚類のうち,フサカサゴ科のメバル属魚類,カジカ科のキンカジカ属,クサウオ科のコンニャクウオ属について研究を進めた.胎生という特殊な繁殖様式を持つメバル属に関しては,メバル3色彩型に対して形態学的・遺伝学的分析から3種が含まれることを明らかにし,それぞれ分類学的にも整理した.また,生態学的研究から3種には成長やマイクロバビタット,食性などの違いが存在すること明らかにした.これで,メバル3種がどのように生殖的隔離を保っているのかを考察するための基礎データが揃ったと言える.キンカジカ属魚類においても,従来「キンカジカ」と同定されてきたものに関し,2色彩型が含まれており,これらに対して形態学的・遺伝学分析を行った.その結果,これらは形態学的・遺伝学にも明瞭に異なっているだけでなく,分布域も異なることが明らかとなった.クサウオ科のコンニャクウオ属に関しては,主にサケビクニンについて形態学的・遺伝学分析を行った.その結果,サケビクニンとは主に色彩が異なるとされていたザラビクニンとは,形態学的・遺伝学的差異がないことが明らかとなり,コンニャクウオ属に関しては色彩は種を認識するためのツールとはならない可能性が示唆された.一方で,幅広い分布域をもつサケビクニンは,それぞれ海域ごとにやや異なった形態的・遺伝的特徴を持つことが明らかとなり,複数種を含んでいる可能性が考えられた.キンカジカ属やコンニャクウオ属は大きい沈性卵を産出することが知られており,地理的分散能力が低いと考えられる.海域ごとに異なる特徴を持つキンカジカやサケビクニンはこのような繁殖様式に起因していることが考えられる.来年度は,本年度得た結果をふまえ,いくつかの色彩多型が知られているメバル属のキツネメバル類,コンニャクウオ属では特徴的な色彩を持つヒレグロコンニャクウオ類について分析し,繁殖様式と色彩のもつ進化的意味について考察していく予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Taxonomic review of the Sebastes inermis species complex (Scorpaeniformes: Scorpaenodae)2008

    • 著者名/発表者名
      Kai Y, Nakabo T
    • 雑誌名

      Ichthyological Research 54(in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] Cryptic diversity in the Careproctus rastrinus species complex (Liparidae) from the North Pacific as inferred from molecular and morphological analyses.2008

    • 著者名/発表者名
      Kai Y, Orr JW, Sakai K, Nakabo T
    • 学会等名
      International Symposium of Systematics and Diversity of Fishes.
    • 発表場所
      National Museum of Nature and Science
    • 年月日
      2008-05-04
  • [学会発表] サケビクニン種群(クサウオ科)の形態的・遺伝的特徴2007

    • 著者名/発表者名
      甲斐嘉晃・坂井恵一・中坊徹次
    • 学会等名
      日本魚類学会
    • 発表場所
      北海道大学学術交流会館
    • 年月日
      2007-10-05

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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