研究概要 |
今年度は,卵胎生であるフサカサゴ科メバル属のムラソイ複合種群,ヨロイメバル複合種群,卵生であるクサウオ科のヒレグロコンニャクウオ近似種について,データをとりまとめた.ムラソイ複合種群,ヨロイメバル複合種群については,遺伝的分析から,近い過去に種分化したと考えられる種ごとに体色の違いがみられ,メバル属においては体色が種分化のキーとなっていることが示唆された.一方,ヒレグロコンニャクウオ近似種については,日本海にのみ分布しており,近縁と考えられるヒレグロコンニャクウオは太平洋にのみ分布していた.これらは,体色と言うよりはむしろ日本海と太平洋という地理的なファクターが種分化のキーとなっている可能性が高い.つまり,クサウオ科については,メバル属のように体色は種分化のキーとはなっていないことが示唆された.これらについては,ほぼ論文にまとめ上げ,近日中には投稿する予定である.さらに,今年度はフサカサゴ科メバル属のキツネメバル複合種群についてもデータをとった.キツネメバル複合種群についても,他のメバル属と同じように遺伝的分析から,近い過去に種分化したと考えられる種ごとに体色の違いがみられたが,太平洋側にのみ交雑個体と考えられる個体が多く見られた.これに関しては,今後より詳細な研究を行っていく予定である.
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