研究概要 |
ヤシ類の訪花性甲虫を調査し, 以下の有用種を含むヤシにそれぞれ特異な訪花性ゾウムシ類を確認した. このうちサラカヤシ, ココヤシの訪花性ゾウムシは, 有用送粉者と考えられている. 他のヤシに集まるゾウムシも同族のもので, それぞれのヤシの送粉に寄与している可能性が高い. 大半は新種で, なかには既知の属とは著しく異なる形態的特徴を有し, 新属を設立すべきものも含まれる. また, 既知種も1800年代にわずかな標本をもとに記載された種で, およそ100年ぶりの再発見であり, その生態や詳細な形態的特徴がはじめて明らかとなった. ・サトウヤシArenga spp. (ゾウムシ科デオゾウムシ族Parimera属4種, うち1種が新種 ; アケボノゾウムシ科Metrioxena属23種, うち約20種は新種) ・ココヤシCocos nucifer (ゾウムシ科デオゾウムシ族Derelomorphus属1種と1新属新種) ・サラカヤシSalacca edulis (ゾウムシ科デオゾウムシ族Eudela属2種, うち1種は新種) ・クジャクヤシCaryota maxima (ゾウムシ科デオゾウムシ族の1新属新種 ; アケボノゾウムシ科Metrioxenini族の1新属2新種とMetrioxena属の1新種) ・アレカヤシAreca catechu (ゾウムシ科デオゾウムシ族Parimera属1新種) ・ウチワヤシLicuala sp. (ゾウムシ科デオゾウムシ族Eudela属1新種) 上記訪花性ゾウムシには以下のような興味深い特徴が見られた. 1) 雌雄の顕著な性的二型, とくに雄の大きな体長差. 2) ときに数百頭にのぼる多数個体が一花序に群がる. 3) 同属複数種が一花序に群がる この場合, 同属内の各種は体長, 形態に大きな違いが認められる.
|