研究概要 |
平成19年度は,フサカサゴ属魚類の最も多様性が高い地域であるオーストララシア海域(オーストラリア大陸,ニュージーランド,ニューギニア,およびその周辺島嶼部)と東アジア海域(韓国,中国,日本,香港)に焦点を絞り,一般標本とタイプ標本の精査を行った. オーストララシア海域に分布するScorpaena papillosa類似種群とScorpaena cardinalis類似種群の調査・解析を行い,それぞれ4種と2種が有効種として含まれることが明らかになった.また,東アジアに分布するScorpaena miostoma類似種群の分類学的研究では,東アジア南部に生息する個体群と北部個体群との間に形態的な若干の相違が確認された.今後はさらに多くの標本を調査して結論付けたい.オーストラリアと東アジアに分断して分布する(反赤道性分布)Scorpaena neglecta類似種群の調査・解析も同時に行った結果,これまで有効種とされていた4名義種がS. neglectaのジュニアシノニムになることが明らかになった.上記フサカサゴ科魚類の調査過程で発見された他の分類群も計測・解析し,結果を随時公表(学会発表・論文出版)した.
|