研究概要 |
本研究は,交配後隔離機構である雑種オス不稔と,交配前隔離機構であるオスの営巣行動の違いという2つの形質に関して,量的形質遺伝子座(QTL)解析を行い,主要なQTLの染色体上の位置を特定すると共に,近縁属であるイトヨの全ゲノム塩基配列データベースを用いた候補遺伝子の探索および多型解析を通じて原因遺伝子を特定することを目的とする。平成21年度は,このうちトミョとイバラトミヨの戻し交配家系の作成とQTL解析の基礎となるAFLP法による高密度マッピングを平成20年度に引き続き行った。また,平成19~21年度の春期に成熟したトミヨとイバラトミヨの戻し交配家系のオス50個体について生殖腺の組織学的観察および行動分析を行い,交配後および交配前隔離形質の分離を調べた。行動分析においては,戻し交配時における遺伝的要因などにより,営巣行動に至るオスが全体の約30%と少なく,QTL分析にはさらなる分析個体数の追加が必要であった。今後,特に交配前隔離形質については,平成22年度以降に追加の実験を行い,本研究期間に作成したマイクロサテライトDNAおよびAFLP法による分離マーカーに基づき,QTL解析を行う予定である。
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