研究概要 |
近年、細胞内のRNAはmRNA,tRNA,rRNAによる蛋白質生合成だけでなく、多様な役割を果たしていることが注目されている。そのため、RNA転写だけでなくRNA分解を制御する機構も細胞内のRNAの動態を解明する上で重要である。 1 β-CASP familyに属するRNA分解酵素の構造機能解析 高度好熱菌Thermus thermophilus HB8には、β-CASP familyに属する2つのRNA分解酵素TTHA0252とTTHA1140が存在する。これまでに、TTHA0252蛋白質についてはT. thermophillus HB8のtotal RNAに対してRnase活性を有することと単独の立体構造を明らかにした。今年度は、活性部位の亜鉛化イオンに配置している残基のTTHA0252変異型酵素の立体構造解析活性測定、及び、野生型酵素と基質アナログとの複合体の立体構造解析を行った。これらの結果から、TTHA0252のRNA分解反応機構に関する知見が得られた。TTHA1140については、大量発現、精製、活性測定を行い、TTHA0252と同様に5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を持つことが分かった。 2 β-CASP familyに属するRNA分解酵素の遺伝子破壊株の作製 TTHA0252の遺伝子破壊株を作成し、野生株との増殖速度の違いを比較した。その結果、栄養培地ではTTHA0252遺伝子破壊株でも増殖速度に差がないことが分かった。これらの培養菌体から対数増殖期と定常期におけるtotal RNAを抽出し、トランスクリプトーム解析を行っている。
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