研究概要 |
ウェルナー症候群は,若い年齢で急速に老化が進行する常染色体劣性の遺伝病である。本疾病はWRNヘリカーゼ(Werner syndrome protein)が変異により機能欠損してしまうことで引き起こされるが,その発症のメカニズムはよく分かっておらず,治療法もない。WRNタンパク質の立体構造はながらく不明のままであったが,代表者らは最近,そのC末ドメインの立体構造を世界に先駆けて決定することに成功している(Kitano et al., 2007, J. Biol. Chem.)。本研究でこの知見を活用して,WRNヘリカーゼの分子構造機能を明らかにしていくためのドメイン解析実験を進めた。この結果得られた同タンパク質に関する最新の知見を,2008年7月アテネで開催された国際分子生物学会(33rd FEBS & 11th IUBMB Conference)においてオーラル発表することができた。 また期間中,細胞膜アンカータンパク質ラディキシンのFERMドメインと,II型膜タンパク質Neutral EndoPeptidase 24.11(NEP)の二者複合体(Terawaki et al., 2007, J. Biol. Chem.),接着分子CD43細胞内ペプチドの二者複合体(Takai et al., 2008, J. Mol. Biol.),およびCD44細胞内ペプチドの二者複合体(Mori et al., 2008, J. Biol. Chem.)のX線構造を決定し,論文発表を行った。一連の構造解析によって,ラディキシンが多彩なべプチドを配列依存的に認識していることを明らかにすることができた。
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