研究概要 |
Axin-DIXドメインはAxinのオリゴマー化に重要であるが,本研究ではそれらの残基についての点変異体の結晶構造解析によって変異DIXドメインがオリゴマー化した構造を取るかどうか,そして点変異による立体構造への影響を調べることを目的とした。野生型Axin-DIXドメインの立体構造から,ドメイン間の相互作用に特に重要と考えられる5つアミノ酸残基(Y766,Y793,F807,R767,K827)について,それぞれ点変異を導入した。Y766のフェニルアラニン(Y766F),ロイシン(Y766L)及びトリプトファン変異体(Y766W),Y793,F807についてはロイシン(Y793L,F807L)及びトリプトファン変異体(Y793W,F807W),R767,K827についてはクルクミン酸変異体(R767E,K827E)を調製した。これらのうち,Y766F,Y766L,Y793L,F807L,R767E変異体については,大腸菌発現系からアミロースレジンによって精製し,部位特異的プロテアーゼによってタグを切断した後,イオン交換クロマトグラフィーによってAxin-DIXドメインを精製することが可能であった。これらタンパク質試料について結晶化スクリーニングを行ったところ,Y766FとR767E変異体について結晶調製に成功した。Y766F変異体では野生型と同様の針状結晶であったため野生型と同様の分子間相互作用を形成していると考えられるが,R767E変異体では陵面体状結晶が得られたことから,野生型Axin-DIXドメインとは異なるパッキングを取るものと考えられ,更にオリゴマー構造に何らかの影響を及ぼしていると期待される。このR767E変異体について,放射光施設を利用して3.2Å分解能での回折データ収集を行った。現在R767E変異体の構造解析を行っている。
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