本申請研究では、分子進化の様々な過程にあるコラーゲン3本らせんを持つ種々のタンパク質の生合成におけるHSP47のシャペロニング機能を明らかにすることにより、「コラーゲン3本らせんが進化する過程で、HSP47を獲得することによって、体温では不安定で自発的なフォールディングが望めない長いプロコラーゲン分子を産生出来るようになった」という仮説を検証する。 a.HSP47の発現を自在に調節できる細胞株の確立1"Tet-Off誘導型HSP47発現細胞" hsp47-/-細胞にテトラサイクリン除去によってHSP47の発現を自在に調節することが可能な細胞株(Tet-Off誘導型HSP47発現細胞)の樹立を試みた。この細胞株樹立にはTet調節因子発現株の樹立と、HSP47発現株樹立の2段階のスクリーニングが必要である。平成19年度はこれらの安定導入を行う遺伝子の構築を行い、第1段階目のスクリーニングを終了した。また、それに引き続く第2段階目の遺伝子導入を行った。(現在スクリーニング中である) b.HSP47の発現を自在に調節できる細胞株の確立2"HSP47ノックダウン細胞" MEF細胞(野生株細胞)を親株としてRNAi法を用いたノックダウンを、薬剤誘導型発現によって行う為の導入遺伝子構築を行っている。2006年から2007年末にかけ、siRNA及びshRNAによるHSP47ノックダウンが報告されているが、薬剤誘導型細胞を確立した例はない。そこで平成19年度は、これらRNAiに利用した配列を組み込んだ遺伝子プラスミドの設計を行い、現在、これらプラスミドを構築中である。
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