研究概要 |
メタノール資化酵母Pichia pastrisによる、モルモット由来ロイコトリエンB_4受容体(BLT1)の大量発現および精製条件を確立した。 高発現培養条件の検討を行った。膜画分を用いたScatchard plot測定の結果、ロイコトリエンB_4に対する結合パラメーターはKd=4.3nM,Bmax=40.0pmol/mgであり、親和性はモルモット白血球膜のBLT1と同等であった。培養条件の検討は、膜画分への発現量だけでなく、その後の可溶化効率も考慮に入れて行わなければならないことを明らかにした。たとえば、最小培地で20℃で4日間誘導するとKd=2.6nM,Bmax=84.0pmol/mgと発現量は高くなるが、温和な界面活性剤ではほとんど可溶化できない。酵母の培養条件によって脂質構成成分が変化することが明らかになっており、可溶化効効率に影響していると考えている。 効率よい精製条件の検討を行った。酵母膜画分を界面活性剤で可溶化後に、陰イオン交換カラムと透析を行うことにより、金属アフィニティーカラムの効率が飛躍的に上昇した。さらにFLAG抗体アガロースカラムとゲルろ過による精製を行った。 1Lの培養量から得られる最終精製サンプル量は、CBB染色したSDS-PAGEのバンド濃度をデンシトメーターで測定した結果、BSA換算で約150μgであった。今後は精製のスケールアップを行い、結晶化サンプルを調製する。結晶化を成功させるためには質のよい受容体を精製する必要がある。分析ゲルろ過の結果、精製BLT1は単量体または二量体であったので良好な結果である。
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