(I)Sec16によるCOPIIコートGAP活性阻害機構の解析を行なった。COPII小胞形成とSar1GTPaseの活性を、それぞれ、トリプトファン蛍光アッセイと光散乱アッセイを用いてリアルタイムで測定した。Sec16は、COPIIコート内でSec13/31複合体とSec23GAPとの相互作用を阻害することによりGAP促進活性を低下させて、コート形成を促進することが明らかとなった。また、この活性にはSec16のN末端領域が重要であることを明らかにした。(II)アルツハイマー病発症機構を酵母を用いた再構成系で解析した。酵母細胞内でのアミロイド(Aβ)生成過程を再構成するため、γセクレターゼサブユニットと、Gal4蛋白質とAPP(アミロイド前駆体蛋白質)の融合蛋白質を導入した酵母細胞を作製した。このモデル細胞系により、γセクレターゼによるAPPの切断を、Gal4蛋白質の転写活性、すなわち、レポーター遺伝子の発現で捉えることが可能になった。現在、γセクレターゼ変異体のスクリーニングを行い、家族性アルツハイマー病変異によるAPP異常切断を回復させる変異、新規遺伝子のスクリーニング等を行っている。(III)酵母でのスクリーニングから得られたPS1の変異等について、哺乳類細胞中での影響も確認している。PS1遺伝子をノックダウンしたMouse Embryonic Fibroblast (MEF)を用いて、変異PS1遺伝子を導入し、セクレターゼ活性・輸送への影響を解析している。今後、ミクロソーム画分やセミインタクト細胞を用いて、PS1のCOPII小胞への積み込みとセクレターゼ活性の関連を解析する。
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