研究課題
(I, III)毒性を発するアミロイド(Aβ)のγセクレターゼによる生成過程を解析するため、γセクレターゼサブユニットと、Gal4転写因子蛋白質とアミロイド前駆体蛋白質(APP)の融合蛋白質を導入した酵母細胞を作製した。γセクレターゼによる切断に伴うGa14の膜からの放出は、レポーター遺伝子の転写活性化、すなわち制限条件下での酵母の生育とβ-ガラクトシダーゼ活性により評価する。γセクレターゼ変異体のスクリーニングを行い、基質サブユニットとして考えられていたニカストリンを必要としないプレセニリン(PS1)変異体を17個獲得した。これらの変異体は通常では活性を失うニカストリン非存在下でも活性を有した。2重変異体である17個のうち16個には第9膜貫通領域(TM9)にS438Pの変異が見られ、アスパラギン酸プロテアーゼ活性中心近傍に存在し、基質の通り道であることが予想されているTM9の構造を変化させていることが示唆された。これらのPS1変異体について、PS1遺伝子もしくはニカストリン遺伝子をノックダウンしたMouse Embryonic Fibroblast(MEF)に遺伝子導入し、ニカストリン非存在下でのAβの生成とNotchの切断から、セクレターゼ活性を確認した(Futaietal., 2009)。現在、家族性アルツハイマー病変異によるAPP異常切断を回復させる変異、新規遺伝子のスクリーニングを行い、さらに研究を発展させている。(II)酵母の膜画分を用いた試験管内アッセイ系を確立した。γセクレターゼサブユニットとAPP断片(C55, C99)を発現する酵母から、ミクロソーム膜画分を調製し、試験管内でインキュベートし、生成されるAβを解析した。その結果、特に毒性の高いAβ42に加え、Aβ40とAβ43の3種類のAβの生成を確認した。これらの活性は、細胞膜成分の内ホスファチジルエタノールアミンを加えると上昇し、酵母細胞由来のプロテアーゼによる切断は見られなかった。(Yagishitaetal., 2009)
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