膜タンパク質は膜貫通ドメインに疎水性アミノ酸が密集しているために可溶化しづらく、RAGEは結晶化が難しいと予想された。そこで、レセプタT型RAGEのC末端細胞質ドメインと膜貫通ドメインを欠いた構造をもつスプライシングアイソフォーム、分泌型sRAGE(soluble RAGE)を解析する標的とした。sRAGEは培養2.5Lあたり最大15mgまで得られ、結晶化スクリーニングを行った。次いで、AGE構造体の1つであるpentosidineと混合した複合体もスクリーニングを行った。sRAGEのプロテアーゼ限定分解を行ったところ、十分量のキモトリプシン存在下でサンプルがおよそ1/2質量分まで分解された。この結果から、精製したsRAGE分子がばらばらに不安定なコンフォメーションをとっていることが推察された。そこで現在、分断されたsRAGEがリガンド結合部位を保持した状態であるか確認するために、質量分析およびN末端分析を行っている。その結果を踏まえて、分断したsRAGEの結晶化を今後検討する。また、β-amyloidやS100Aなどの異なるリガンドとの複合体についても結晶化を試みている。
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