我々はこれまでにポルフィリンがトランスポーターであるOGCまたはANTを介してミトコンドリア内膜中に集積されることを明らかとして来たが、この知見とヘム生合成系との相関をより明確に示すために、これらのトランスポーターを介したヘム関連ポルフィリンの輸送活性の定量的な解析、細胞内ヘム生合成系に対する機能的な解析を行っている。 まず、ヘム前駆体ポルフィリンのミトコンドリア集積性について組み換え体タンパク質を用いた生化学的な解析を行い、OGCに比べANTのポルフィリン認識能が約10倍高い事が分かった。さらに、真核細胞中におけるトランスポーターを介した、ヘムおよびヘム前駆体のミトコンドリア内への運搬能ならびにヘム生合成系への関与について評価するために、酵母の数種のトランスポーター欠損株を作成に成功した。これらの欠損株の内、特にANTの発現を欠損させた変異株において顕著なヘム合成の減少と、ヘム前駆体の細胞内での蓄積が起こることを見出した。これらの知見はANTがヘム前駆体ポルフィリンをミトコンドリア内に輸送することにより、ヘム生合成に関与することを強く示唆するものである。これらの成果は、学術誌PLosONE(27号、2008年)に掲載され高い評価を受けている。
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