研究概要 |
高度好塩性古細菌Haloferax Volcaniiのnarオペロン(narABCGHD)にコードされ, ハイブリッド複合体として存在する事が予想される硝酸塩還元酵素の研究を行った. オペロンにコードされるnarB遺伝子欠損株を作成し, His-tag結合NarBを発現させるプラスミドを導入した. この変異株の膜画分からNi-Sepharoseを用いて硝酸塩還元酵素複合体の精製を行った. SDS-PAGEの結果, 精製サンプルには8種類のポリペプチドが存在した. N末端アミノ酸配列から, 約100k, 50k, 40k, 25k, 23kのポリペプチドがNarG, NarH, NarC, NarD, NarBである事が確認できた. narオペロンにコードされ, 金属中心を持つと思われるサブユニットを全て確認する事ができた. 以上の結果より、シトクロムbc_1複合体のシトクロムbとリスケ鉄硫黄タンパク質と相同なNarC, NarBと細菌類の硝酸塩還元酵素と相同なNarG, NarHがNarDを介してハイブリッド複合体を形成して機能している事が示された. narオペロンの上流に逆向きにコードされ, 発現調節タンパク質と予想されるnarRの欠損株は硝酸塩呼吸条件下では生育できなかった. narR欠損株に野生型narRの他にレドックスセンシングに関わると考えられるシステインの変異株C17S, C81S, C83S, C91S, C100Sを発現させるプラスミドをそれぞれ導入した. 野生型, C100S変異株は生育が回復したが, 他の変異株の生育は回復しなかった. 以上の結果から, NarRの機能発現にはC17, C81, C83, C91の4個のシステインが必須である事が明らかとなった.
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