研究概要 |
CaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP)は広く脊椎動物に存在するSer/Thrプロテインホスファターゼで、CaMKI、CaMKII、CaMKIV等の多機能性CaMキナーゼに特異的に作用して、脱リン酸化することでCaMKカスケードを負に調節していると考えられている。しかし、その活性調節機構は明らかにされていない。そこで本年度はまず、基質であるCaMKsによってCaMKPがリン酸化され、活性制御されている可能性を検討した。CaMKIIによってCaMKPをリン酸化するとCaMKPの活性が上昇したが、C末欠損変異体であるCaMKP(1-412)はリン酸化を受けなかった。このことよりCaMKPのC末端413-450の間にリン酸化部位が存在する事が推測されたので、この領域のSer/Thr残基をAlaに置換した変異体を用いてSer432が主要なリン酸化部位である事を突き止めた。さらにCaMKPはCaMKIによっても同様にリン酸化を受けたが、そのリン酸化部位はSer440、Ser447、Thr437、Thr446であった。 一方、CaMKPノックダウン時のゼブラフィッシュ胚では、発現部位と一致してアポトーシスが起こるが、CaMKI,II,IVのどの分子種のスイッチオフが解除されることでアポトーシスが起きているのかは明らかではない。そこでどの分子種のCaMKのリン酸化が亢進しているのかを確かめるために、まずゼブラフィッシュの各種CaMKsのクローニングを行い、CaMKI deltaとCaMKIVを取得した。
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