研究課題
核局在型CaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP-N)は多機能性CaMKsを特異的に脱リン酸化し、不活性化するプロテインホスファターゼである。CaMKP-Nは、主に中枢神経細胞に存在しており、細胞内では核に局在する。これまでラットならびにゼブラフィッシュのCaMKP-NのC末端領域に核局在シグナル(NLS)が存在することが報告されている。また、ラット脳内においてはC末端領域で分解を受けた分解断片が存在し、この分解断片はNLSを失っているため細胞質にも局在することが知られている。今回、我々はCaMKP-NのC末端領域が分解を受けた場合、脱リン酸化活性にどのような影響を及ぼすかについて調べた。リン酸化CaMKIIペプチド(pp10)を基質にしてホスファターゼ活性を調べたところ、C末端領域の186個のアミノ酸を欠損させたゼブラフィッシュCaMKP-N変異体[zCaMKP-N(1-447)]はWTに比べ6倍程度の高い脱リン酸化活性を示した。また、リン酸化CaMKIVを基質にした場合でもC末端欠損変異体はWTに比べて高い脱リン酸化活性を示した。ゼブラフィッシュ脳から調製した組織抽出液を用いてウエスタンブロットを行ったところ、約70kDaのCaMKP-Nの分解断片と思われる分子種が検出されたが、認識部位が異なるCaMKP-N特異的抗体で解析した結果、この分解断片はC末端領域が分解されていることが判明した。そこで、この分解断片を免疫沈降により取得し脱リン酸化アッセイを行ったところ、Mn^<2+>とCaMKP-Nの活性化因子であるpoly-L-Lys存在下においてCaMKIVを顕著に脱リン酸化する活性を示した。以上の結果から、脳内におけるCaMKP-Nの分解は、その細胞内局在に影響を及ぼすだけでなく、脱リン酸化活性の制御にも関与する重要な細胞内プロセシングである可能性が示唆された。
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