研究概要 |
膜タンパク質の大量発現系構築は困難である場合が多く試料調製が容易ではない。そのため,その重要性にも関わらず膜タンパク質についての理解は,可溶性蛋白質と比較して遅れているのが現状である。そこで本研究では,モデル膜タンパク質としてバクテリオドドプシン(BR)を用いて,無細胞タンパク質合成技術を利用し大量機能発現系を開発し,詳細な機能解析に応用できる系を構築することを目的とする。以下に示す課題をもとに研究を進めた。 (1) 大量機能合成系の開発 膜タンパク質は疎水性であるので,反応液に疎水性場を提供する必要がある。翻訳物の疎水性場への移行を安定かつ高効率に行なうことができる条件を探索する。 (2) 機能発現機構の理解 膜移行速度と凝集速度およびリポソーム形成速度の関係を検討することで,BRの機能発現過程を理解し,系の改良を遂行する。 (3) 他の光受容膜タンパク質への適用 BR以外の光受容膜タンパク質に対して,本系を適用して,その有用性を確認する。 (4) アミノ酸ラベル体の調製 無細胞タンパク質合成系の利点の1つとして,ラベルアミノ酸導入が容易であることが挙げられる。実際に,アミノ酸ラベル体を合成し,構造・機能解析に利用可能か確認する。
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