研究概要 |
本年度,自己励起蛍光タンパク質・BAFの開発について,Nature Methodsにて論文発表を行った。その過程で,従来よりも極めて高い発光量を発揮するeBAF-Yの開発に成功した。eBAF-Yは従来の発光プローブの中で最高レベルの明るさを発揮する一方で,併用を想定していた赤色ルシフェラーゼとの発光量の差が余りにも顕著であり,イメージングを行う際の両者間の明るさのバランスという新たな問題に突き当たり,より明るい赤色ルシフェラーゼの開発の必要性が生じた。甲虫系の赤色ルシフェラーゼの改良も検討しつつ,新たに赤色蛍光タンパク質・RFPを利用したBAFの開発を試み,BAF-Rを数種類開発した。これらについては,「高いエネルギー移動効率を有するBRET発現系」という名称の特許出願の内容に盛り込んだ。細胞内局在レポーターについては,ストレス応答性転写因子の局在制御責任ドメインをクローニングし,GFPと融合する形での検討を行い,絞り込みを行った。尚,レポーター遺伝子の基本設計は済んでおり,ストレス応答レポーター遺伝子の安定導入細胞の構築は,次年度の課題として行う予定である。 上記の都合により,年度途中で簡便な灌流システムの開発に重点をシフトし,ATTO社の協力を得て,試行錯誤を繰り返しながら,細胞を付着させたカバーガラスを利用する灌流ステージ部の開発を行った。灌流動力については当初ペリスタポンプを想定していたが,現在,再検討中であり,次年度の課題として,引き続き検討することとする。
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