研究概要 |
真核生物・原核生物を問わず、mm〜mスケールのゲノムが階層的に折りたたまれてμmスケールの細胞(または核)内に収まっている。本研究では、細菌染色体(核様体)の高次構造構築とその構造制御機構が転写と密接に関連しているとの申請者の発見にもとづき、その具体的な機構を分子レベルで解明することを目的とした。 当初計画に基づき、大腸菌核様体タンパク質欠損株(△Hu(△hupA,DhupB)、△IHF(△himA,△himD)、△H-NS(△hns)、△Hfq(△hfq))のAFMによる観察を行い、△Huと△IHF株では核様体が部分的に凝集すること、△H-NS・△Hfqではファイバー状構造体ではなくビーズ状構造体となることを突き止めた。また、転写活性の程度と10nmファイバーの量が正の相関を持つことを見つけた。さらに、大腸菌・黄色ブドウ球菌の核様体構成・制御因子の同定・定量のため、核様体の精製・SDSタンパクゲルによる分離を試み、MASS解析に向けた準備を部分的に終えた。光ピンセットによる核様体物性の評価を行い、菌の生育状態によって、核様体の解け方に相違があることを発見した。 また、平成19年10月1日付をもって、現職へと異動となり、当地での研究継続のための準備を行った。その結果、平成20年4月より、原子間力顕微鏡が現職場に設置(京都大学との貸借契約)されることとなり、今後も原子間力顕微鏡による解析を中心とした研究の遂行が可能となった。平成20年度は、欠損株のさらなる解析、核様体因子のらむ同定の完了、再構成体の解析に向けた準備を中心に進める予定である。
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